-自画像、花、ノラ、そして母の像
筧忠治(1908-2004)は、一宮市萩原町に生まれ、同市小信中島で機屋を営む家で幼少期を過ごし、9歳の時に名古屋に転居しました。高等小学校卒業後、愛知県測候所(現・名古屋気象台)に勤めながら名古屋洋画研究所でデッサンを学び、画集を通して西洋の美術に影響を受けました。その後は自画像などを独学で描き続け、1949(昭和24)年の中部日本美術展に長年にわたって母を描いた《虫眼鏡を持てる老母》を出品し、衝撃的なデビューを果たしました。しかし、その後は公募展に出品するも落選に気落ちして沈黙、画壇からは離れて肖像画や風景画、花や野良猫の連作などを描き続けました。定年退職後になって仲間と展覧会をするようになり、1998(平成10)年に刈谷市美術館で、2000(平成12)年に一宮市博物館で特別展が開催され注目されました。
今回は、当館のコレクションの中から、晩年まで描き続けた自画像のほか、繊細な花や迫力あるノラのシリーズ、そして10年もの間筆を入れ続けた母の肖像画の大作など、独自の作風を貫いた画家の代表作の数々を紹介します。
- 会期
- 6月5日(土)~7月4日(日)月曜日は休館
- 時間
- 午前9時30分~午後5時(入館は4時30分まで)
- 会場
- 一宮市博物館 1階 特別展示室・講座室
- 観覧料
- 一般500円、高・大生250円 中学生以下無料 (常設展料金含む)
《自画像17》1930年
《ノラ11》1987年頃
《虫眼鏡を持てる老母》1930-1940年